概要

MuseLoidは、Museを用いて歌を歌わせるためのプロジェクト。この話題は2015年4月に開催されたMuseのオフ会で初めて挙がった。サウンドフォントで五十音の発声データを準備しておき、それをMuse側から何らかの方法で切替ながら発音させることで、従来の演奏と並行して、歌唱も可能になるのではないかという発想であった。

MuseLoid導入手順

手順の流れ

MuseLoid設定手順3.png
  • 楽団編成ファイルは、MuseLoid歌手の数だけ必要
    • Museデータに楽団編成ファイルが添付されていることもある。その場合は添付のsfmファイルをSoundFont?フォルダへ放り込めば良い。

1. サウンドフォントの格納パスを指定

MuseLoidを利用するためには、サウンドフォントが使えるよう設定することが必要である。
Museの設定ファイル「MUSE.ini」を開き「、「#SF」パラメーターにサウンドフォントの格納先を記述する。

MuseLoidの構築 (1).PNG
MuseLoidの構築 (2).PNG

なお、MuseLoid対応音源と伴奏用のサウンドフォントとを混同しないよう、専用の「MuseLoid」フォルダを作っておくと良い。
この「MuseLoid」フォルダは、「#SF」フォルダとは依存関係のない位置に作成することができる。

MuseLoidの構築 (3).PNG

2. MuseLoidに準拠した音源を入手

Museに歌わせるために、歌声のデータが収録された音源ファイル(サウンドフォントまたはSFZ)を入手する。
入手したサウンドフォントは、手順1で作成したMuseLoid用のフォルダに保存する。
MuseLoid準拠の音源は、インストーラー版Museに同梱されている他、MuseLoid対応音源一覧のページからも入手可能である。

MuseLoidの構築 (4).PNG

3. Museの楽団編成ファイルを作成する

歌と演奏とを組み合わせるために、演奏で使うサウンドフォントを定義する楽団編成ファイル(sfmファイル)を作成する。
楽団編成ファイルは、メモ帳などのテキストエディタを用いて、以下のようにファイルを記述する。
(アスタリスク以降、行末まではコメント。相対パス基点は#SFフォルダ)

*ミューズロイド用サウンドフォント(SFZフォルダ名に割り付け先の楽器番号を添える)
d:\hoge\MuseLoid\MuseLoid-hoge2\sfz\ | 53

*伴奏用サウンドフォント(SF2形式はファイル名で記述)
d:\hoge\piyo\piano1.sf2

上記ファイルを、「hoge楽団.sfm」などのファイル名で保存する。保存する場所は、「#SF」パラメーターに記述したフォルダである。

MuseLoidの構築 (5).PNG

(注)ミューズロイド音源の割り付け先は、演奏互換性という観点から、歌声に近い楽器番号を採用することが望ましい。この配慮により、通常音源で再生した場合でも違和感の無い演奏が期待できる。参考として以下に候補例を示す。

P53:合唱アー   	 男声(合唱)
P54:独唱オー   	 男声(独唱)
P55:シンセボーカル	 女声(合唱)
P86:ソロボーカル 	 女声(独唱)
P92:スペースボイス	 (予備)
MuseLoidの構築 (6).PNG

4. Museで動作確認

Museを起動し、「音源」 → 「SoundFont?」内に表示される、楽団編成ファイルを選択する。
読み込みが正常に行えたら、「楽器の試聴」を用いて、 P53/50 などの音色を試聴する。
※なお、インストーラー版Museでは、最小限の歌唱が可能なMuseLoid対応音源が付属されており、さらにインストール直後からすぐに歌えるよう、上記で解説した一連の指定が設定済みである。

MuseLoidに歌わせる

実際の歌わせ方

MuseLoidは通常、合唱アー(P53)、独唱オー(P54)、シンセボーカル(P55)などの楽器にアサインされ、それらのバリエーション番号50〜124に五十音の発声が収録されている。
このため、以下のようにバリエーション変更を用いて発音を変更しつつ、実音を入力することで歌わせる。

#A0@ P53 ; 発音楽器の指定
  P/55 _ P/53 _ P/92 _ P/75 _  ; かえるの
  P/52 _ P/65 _ P/100 _          ; うたが

#A1 ; 音程の指定
  d r m f
  m r d

1フィンガーで記述することもできる。

#A0 @P53
  P/55 d P/53 r P/92 m P/75 f
  P/52 m P/65 r P/100 d

発声/バリエーション対応表

発声とバリエーション番号との対応は、以下の表の通りである。
ただし、表中の[ぢ]と[づ]は、それぞれ『でぃ』『どう』と発声する

ア行050:あ051:い052:う053:え054:お
カ行055:か056:き057:く058:け059:こ
サ行060:さ061:し062:す063:せ064:そ
タ行065:た066:ち067:つ068:て069:と
ナ行070:な071:に072:ぬ073:ね074:の
ハ行075:は076:ひ077:ふ078:へ079:ほ
マ行080:ま081:み082:む083:め084:も
ヤ行085:や086:ヰ087:ゆ088:ヱ089:よ
ラ行090:ら091:り092:る093:れ094:ろ
ワ行095:わ096:ゐ097:ん098:ゑ099:を
ガ行100:が101:ぎ102:ぐ103:げ104:ご
ザ行105:ざ106:じ107:ず108:ぜ109:ぞ
ダ行110:だ111:ぢ112:づ113:で114:ど
バ行115:ば116:び117:ぶ118:べ119:ぼ
パ行120:ぱ121:ぴ122:ぷ123:ぺ124:ぽ

発音の記述を簡便にする

以下のように発音をマクロ化すると、記述が簡便になる。

$a{P/50}
$i{P/51}
$u{P/52}
$e{P/53}
$o{P/54}

さらに、*TEXTの追記コマンドをマクロに含めることで、歌うと同時に歌詞も表示できる。

$ka{P/55 *"か"}
$ki{P/56 *"き"}
$ku{P/57 *"く"}
$ke{P/58 *"け"}
$ko{P/59 *"こ"}

以下のファイルに、全ての発音をマクロ化してあるので、Museデータに張り付けて使用すると便利である。

マクロを使うと、かなり見通しが良くなる。

#A0 @P53
  ${ka} d ${e} r ${ru} m ${no} f
  ${u} m ${ta} r ${ga} d

特殊な発音

拗音

「きゃ」などの拗音は、2つの発音を素早く切り替えることで対応する。すなわち、先行する発声を修飾音として記述する。

${ki} d32 ${xya} d4~32 ; きゃ
${fu} d32 ${i} d4~32 ; ふぃ

促音

「っ」は、休符やスタッカートを用いることで表現できる。

${ki} d8 _ ${pu} d ; キップ

MuseLoid歌唱のTips

「ぎょ」や「しゃ」と言った発音は、装飾音「ぎ」+「ょ」、そして装飾音「し」+「ゃ」でうまくいくと思います。
字の大きさが「ぎ」「し」が大きく「ょ」「ゃ」が小さいので、「ぎ」「し」が主で、「ょ」「ゃ」が従と捉えがちですが
実は逆で、「ぎ」や「し」が修飾音で、「ょ」や「ゃ」が主音です。
装飾音の長さはスローテンポな曲ならば、発音が間延びせぬよう64分音符で違和感がありません。
単なるふりがなとは異なる点もある程度考慮せねばなりません。
「そつぎょうしゃしん」ではなくて「そつぎょおしゃしん」と歌わせると違和感無く聞こえます。
同様に「そのままだったから」は「そのままだあたから」となります。
また「しかって」の場合、実際に歌われるのは「しかあて」に近いです。
「もっと」と言った発音は、「っ」を無音(あるいは休符)と考えるとうまく行きます。
「もっと」の場合は、「も」を強めのスタッカートにして、すぐに「と」を続けます。
「っ」という発声が存在しない方が、「っ」に聴こえるから不思議です。
経過で現れる「母音」(あいうえお・ん)は w もしくは v で発音を小さくすると自然に聞こえます。
 ・「あいたい」= 冒頭の「あ」は強いですが「い」は小さい音になります。
 ・「だんご」=「ん」が弱い音。

また、経過で現れる「し」「す」も、実は発音が小さくなる場合が多いです。
 ・「あした」 = 「し」はかなり小さい音になると思います。同じ強さだと棒読みに近くなります。
 ・「ございます」 = 実際の「す」はほとんど聞こえないくらいの発音です。

MuseLoid音源の作り方

以下を参照

https://www.vector.co.jp/soft/winnt/art/se518715.html

fileMuseLoidCheck.mus 作った(MuseLoidを一通り聞きたいときに便利なMuseデータ)

MuseLoidの歌手を自作する


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Last-modified: 2023-07-31 (月) 02:40:07